本研究は、「あいまいな表現をあいまいなまま理解する」といった「あいまい性の理解」の発達課程を明らかにするために、心的動詞表現の持つ「あいまい性」がどのように理解されるようになるのかについて、2つのあいまい性の点から調査を行うことを目的としている。 平成22年度は、「あいまい性の理解」を測定するために使用する「あいまいさ表現」の選定とその基準作りを行った。先行研究より「あいまいさ表現」として心的動詞(思う・知る・わかる)・文末モダリティ形式(かもしれない・にちがいない・らしい・だろう)を選定し、これらの「あいまいさ表現」について大学生を対象とした質問紙調査を研究協力者(塩田裕史)とともに実施した。今回の調査では、先行研究より新たな知見を取り入れ、「情報の既知・未知の影響」を考慮に入れたあいまいさ評定を行った。また予備調査(調査1・2)では、メタ言語的理解の指標の1つとして「抽象語基礎調査(SCTAW標準抽象語理解力検査)」の使用を検討し、大学生を対象に調査を実施した。 具体的には、7つの心的動詞と文末モダリティ表現を使用し、文の命題内容が未知・既知である場合、確信度判断(点推定・区間推定・多重比較法)の評定結果にどのような影響を与えるかを確認した。調査の結果、「あいまい性理解」には情報の未知・既知の要因が評定値に影響を与えること、評定値は7つの心的動詞と文末モダリティ表現によって表わされる「あいまい性」によって段階的に配置されることが確認された。しかし、多重比較法については2011年度においても引き続き質問紙調査を行い、調査1~3の結果と合わせて2011年度9月に調査予定の子ども対象の質問紙の到達目標(基準)とする
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