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2012 年度 実績報告書

幼児・児童における心的動詞のあいまい性理解の発達

研究課題

研究課題/領域番号 22730516
研究機関尚絅学院大学

研究代表者

小泉 嘉子  尚絅学院大学, 総合人間科学部, 准教授 (80447119)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード心的動詞 / あいまい性 / メタ言語
研究概要

本研究は、語の意味理解における「あいまいさ表現」の理解の発達過程を明らかにすること、2つのあいまい性の理解(あいまいさの程度とあいまいさの幅)のうちこれまで十分に明らかにすることができなかったあいまいさの幅に着目しその理解の発達を明らかにすることを目的としている。
(1)クリッカーシステムを用いた多重尺度法の作成について:本計画では、2010年~2011年の大学生を対象とした調査を踏まえ、調査参加者への負担を軽減するために、調査方式を個別式から集団式へ変更した。具体的には、小学生にも操作が容易であり集団を対象にした一斉調査に適しているクリッカーシステムを使用した一斉調査システムを作成することに方向転換を行うことにした。そこで、2012年度から2013年度にかけて大人・児童の双方に使用可能なクリッカーシステムを用いた多重尺度法(吉川,1994)の作成を行った。
(2)新たな要因の追加について:本計画では、メタ言語的理解の発達とことばの持つあいまい性の理解との間の関連性について検討するために、メタ言語理解の指標として「抽象語の理解」に着目し、あいまいさを表す文末表現の理解との関係を検討した。しかし、2010年度~2011年度の調査結果より、あいまいさを表す文末表現の理解に対してメタ言語理解の指標である「抽象語の理解」の発達とは別の要因による影響がみられた。そこで、2011年度中旬~下旬(調査4・調査7)に大学生を対象に質問紙調査において検討した結果、神尾(1998)の情報のなわ張り理論に見られるような、会話における情報の所属である「なわ張り」を子どもがどのように認識し提示文を判断しているかについて検討する必要が明らかになった。そこで2012年度より、情報のなわばり理解を測定する質問項目を作成し、情報のなわばり理解がどのようにされているのかについて調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、平成24年10月までに大学生・小学生を対象とした予備調査を行い、平成25年3月までに上記の予備調査結果をもとに小学生を対象とした調査を行い、結果分析したうえで、研究成果を取りまとめる予定であった。しかし、次の2つの理由により、当初研究計画が遅れた。
1.新たな要因の追加について:メタ言語理解の指標として「抽象語の理解」に追加し、新たな要因として「情報のなわばりの理解」の発達についても調査することにした。これに伴い、2012年度に大学生を対象とした追加の質問紙調査(調査8)を実施し、2011年度に実施した調査4・7のデータと比較・検討を行った。
2.計画の変更について:平成24年9月の日本心理学会において、あいまいさの理解に影響を与えると考えられる新たな要因(情報のなわばりの理解)の追加に際して、近接領域の研究者より①あいまいさ理解との関係を明らかにするためには、小学生~大学生にかけての情報のなわばりの理解の発達過程をとらえる必要がある、②情報のなわばりの理解は中学生でも課題の理解が難しいと考えられるため、小学生向けの調査方法の開発のためには中学生・高校生でも回答可能かを確認する必要がある、という2つの指摘があった。以上の指摘を受け10月に計画を見直した結果、児童を対象とした本調査を行う前に、中学生・高校生を対象とした追加の調査を行う必要性が生じた。

今後の研究の推進方策

2012年度10月に大幅に研究計画を見直し、①「命題を提示する主体(発話者)の種類」によってこの「情報のなわばり」をどう認識しているのかが異なるのか、②「情報のなわばり」認識とあいまいさ(確信度)評定は関連しているのか、について検討を行うことにした。また、この結果をもとに子どものあいまいさ(確信度)理解について以下の点を検討することにした。
1.あいまいさを表す文末表現の理解についての検討
2.クリッカーを用いた多重尺度図法によるあいまいさ評定の開発
3.メタ言語的理解(抽象語の理解と情報のなわばりの理解)との関連の検討
これらの計画の変更に基づき、2013年度はクリッカーを使用した3つの調査の実施を行う。具体的には、2013年4月に調査9(上記の1~3について大学生を対象にクリッカーを用いた調査)を実施し、この結果をもとに小学生~高校生を対象とした尺度の開発を行う。そして2013年前期~後期に小学生・中学生・高校生を対象とした調査10・調査11・調査12(児童・青年を対象とした「あいまい性理解」の基礎的調査)を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] あいまいさを表す文末表現が確信度判断に及ぼす影響I2012

    • 著者名/発表者名
      小泉嘉子
    • 雑誌名

      尚絅学院大学紀要

      巻: 第64号 ページ: 141-155

    • 査読あり
  • [学会発表] あいまいさを表す文末表現が確信度判断に及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      小泉嘉子
    • 学会等名
      日本心理学会第76回大会
    • 発表場所
      専修大学生田キャンパス
    • 年月日
      20120911-20120913

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公開日: 2015-05-28  

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