本研究の目的は、学習場面における仲間同士の相互質問を抑制する原因を明らかにし、これを克服するための介入プログラムを開発、実践することであった。研究1では、仲間同士の相互質問に影響を及ぼす態度要因について性差、発達差の影響も踏まえて検討した。その結果、青年期に近づくにつれて質問に対するネガティブな態度が抑制要因として作用することが明らかになった。研究2では、仲間への質問に対する態度の変容を目的とした授業プログラムの介入実験を行った。その結果、プログラムの実施前と実施後では仲間への質問に対するポジティブな態度が有意に上昇した。研究3では、特に質問内容の質の向上に焦点を当てたプログラムの介入実験を行った。質問生成の認知的枠組みの形成を支援する教材を使用する授業を行った結果、教材適用前と比べて教材適用後に生成された質問の方が、より具体的で良質の質問であると評価された。以上の3つの研究により、仲間との相互質問の量と質両面の向上を目ざしたプログラムを開発するという本研究の目的は概ね達成された。
|