H22年度に作成した家族関係ヒストリーグラフ(Family Relationship History Graph; FRHG)を使用し、以下3つの研究を行った。 (1)非臨床群: 非臨床群100名のデータを追加し、昨年度までのデータとあわせ、青年期後期にあたる対象者175名のデータを用いて、FRHGの再分析を行った。その結果、現在の母子の結びつきに関連した家族関係は、母子の小学校高学年時の結びつき、父子の現在の結びつき、父子の高校時の結びつき、であった。現在の父子の結びつきに関連した家族関係は、父子の高校時の結びつき、母子の小学校低学年時の結びつき、母子の現在の結びつき、であった。現在の両親の結びつきに関連した家族関係は、子どもが高校時の両親の結びつき、子どもが小学校高学年時の母子の結びつき、であった。(2)非臨床群における現在の抑うつ度(自己評価式抑うつ尺度; SDS)とFRHGとの関連: 非臨床群における現在の抑うつ度(自己評価式抑うつ尺度; SDS)とFRHGとの関連について検討した。中度うつ傾向以上(SDS50点以上 n=11)を対象に分析した際、SDS得点と関連した家族関係は、子どもが高校時代の夫婦関係であった(負の関連)。(3)臨床群: 臨床群(少数事例)について、FRHGを用いて、過去から現在にかけての家族関係を検討し、また、非臨床群との比較を行ったが、データの数が少ないため、推測統計を用いた分析が困難なため、現在、さらに臨床群のデータを収集しているところである。 以上の最終的結果は、本年度開催される国際家族心理学会第7回大会にて発表予定である。
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