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2011 年度 実績報告書

幼児の問題行動生起プロセスに関する研究-実行機能の調整効果-

研究課題

研究課題/領域番号 22730544
研究機関兵庫教育大学

研究代表者

岡村 寿代  兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (90508326)

キーワード実行機能 / 社会的スキル / 問題行動 / 幼児
研究概要

近年,海外においては,問題行動を示す幼児は,社会的スキルの知識はあるものの,それを実行することができないという実行欠如の問題が指摘され,その要因として,不適切な行動の抑制や,思考を切り替える柔軟性及び情報処理に関わるワーキングメモリなどの実行機能の不全が挙げられている(Barkley:2000)。先行研究では,実行機能と社会的スキル及び問題行動とのそれぞれの相関関係が検討されているものの,問題行動の生起プロセスに関する研究は行われていない。本研究では,社会的スキルと実行機能が関わって問題行動が生起するというプロセスを明らかにすることが目的である。
平成22年度は,社会的スキルと問題行動,及び実行機能との関連を検討した。月齢と性別を統制した偏相関係数を算出した結果,社会的スキルとの関連では,認知的柔軟性課題と協調スキル,働きかけスキルに関連が認められた。これにより葛藤を抑制したり柔軟な思考を持っている幼児は,仲間に働きかけたり遊びを維持したりするスキルが高い可能性が示された。また,自己コントロールスキルとワーキングメモリの関連から,自己と他者の複数の情報を保持し操作できる幼児は,仲間との葛藤場面で気持ちをコントロールできる可能性が示された。一方,問題行動との関連では,認知的柔軟性課題と不安・引っ込み思案行動,ワーキングメモリと攻撃妨害行動に関連が認められた。
平成23年度は,実行機能が社会的スキル及び問題行動に及ぼす影響を検討した。重回帰分析の結果,実行機能のなかでも抑制制御機能は,社会的スキルの実行に影響を及ぼし,ワーキングメモリは問題行動の生起に影響を及ぼす可能性が示唆された。問題行動領域の攻撃行動及び不注意行動においては,どちらも実行機能のすべての側面が影響を及ぼしていることから,実行機能の発達は,問題行動の低減に寄与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りに研究が進められているため、おおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

研究は順次行われているため予定通りに進める。今後は、2回の調査の分析を行う予定であるが、統計解析手法について問題が生じる可能性があるため、その対応策として専門家の意見を仰ぐなどの対応を検討している。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] 幼児の実行機能と社会的スキル及び問題行動の関連2012

    • 著者名/発表者名
      岡村寿代
    • 雑誌名

      発達心理臨床研究

      巻: 18巻 ページ: 13-19

  • [雑誌論文] 小学校教師における自己志向的完全主義と特性被援助志向性およびバーンアウトとの関連2012

    • 著者名/発表者名
      井筒しのぶ, 岡村寿代
    • 雑誌名

      発達心理臨床研究

      巻: 18巻 ページ: 21-31

  • [雑誌論文] 自己志向的完全主義・拒否回避欲求と過剰適応との関連-青年期後期を対象として-2012

    • 著者名/発表者名
      大西裕子, 岡村寿代
    • 雑誌名

      発達心理臨床研究

      巻: 18巻 ページ: 33-41

  • [雑誌論文] 青年期の自己愛特性・自尊感情の変動性と心理的不適応の関連2012

    • 著者名/発表者名
      舩曵友愛, 岡村寿代
    • 雑誌名

      発達心理臨床研究

      巻: 18巻 ページ: 43-51

  • [雑誌論文] 不合理な信念がストレス反応に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      岡村寿代
    • 雑誌名

      パーソナリティ研究

      巻: 19巻 ページ: 267-269

    • 査読あり
  • [学会発表] 幼児期における感情理解,実行機能及び向社会的行動の関連2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木遥, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本発達心理学会第23回大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2012-03-11
  • [学会発表] 幼児の実行機能が社会的スキル及び問題行動に及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      岡村寿代
    • 学会等名
      日本発達心理学会第23回大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2012-03-10
  • [学会発表] 引っ込み思案な低学年児童に対する社会的スキル訓練の効果2011

    • 著者名/発表者名
      大西裕子, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本LD学会第20回大会
    • 発表場所
      跡見学園女子大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] アスペルガー症候群低学年児童に対する社会的スキル訓練2011

    • 著者名/発表者名
      舩曵友愛, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本LD学会第20回大会
    • 発表場所
      跡見学園女子大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 発達障害のある幼児・低学年児童への社会的スキル訓練-自由遊び場面での行動観察と学校での教師の評価に焦点をあてて-2011

    • 著者名/発表者名
      半田健, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本LD学会第20回大会
    • 発表場所
      跡見学園女子大学
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 幼児の実行機能,社会的スキル及び問題行動の関連-短期縦断的検討-2011

    • 著者名/発表者名
      岡村寿代, 清水健司
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] 対人恐怖と自己愛の相互関係モデルにおける攻撃性の検討2011

    • 著者名/発表者名
      清水健司, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] 小学校教師における自己志向的完全主義と特性被援助志向性およびバーンアウトとの関連について2011

    • 著者名/発表者名
      井筒しのぶ, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第20回大会
    • 発表場所
      京都光華女子大学
    • 年月日
      2011-09-03
  • [学会発表] 過剰適応に影響を及ぼす要因の検討-青年期後期を対象として-2011

    • 著者名/発表者名
      大西裕子, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第20回大会
    • 発表場所
      京都光華女子大学
    • 年月日
      2011-09-03
  • [学会発表] 青年期の自己愛特性と自尊感情の変動との関連2011

    • 著者名/発表者名
      舩曵友愛, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本パーソナリティ心理学会第20回大会
    • 発表場所
      京都光華女子大学
    • 年月日
      2011-09-03
  • [学会発表] 自己志向的完全主義と小学校教師における特性被援助志向性およびバーンアウトとの関連について2011

    • 著者名/発表者名
      井筒しのぶ, 岡村寿代
    • 学会等名
      日本教育心理学会第53回大会
    • 発表場所
      北翔大学
    • 年月日
      2011-07-24

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公開日: 2013-06-26  

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