うつ病等の精神疾患に罹患した場合、適切な専門的援助を獲得することが望ましい。本研究では、援助を必要としている者が、専門的な援助獲得を促進できるような、介入プログラムの開発と評価を行うことを目的としている。 本年度は、大学生を対象としてうつ病とその治療に関する情報提供のセッションを実施し、その成果を検証した。大学生76名をランダムに介入群と統制群とに分割し、介入群のみ、情報提供のセッションに参加した。各変数の測定は、介入前、介入後、フォローアップ(4週間後)時に行った(有効60名)。 その結果、介入群のみにおいて以下のような変化が見られた。(1)専門家による援助の有効性の認知が有意に上昇した、(2)うつ病に罹患した際に専門家へ援助要請しようという意図が有意に上昇した、(3)うつ病の可能性がある友人がいた場合、専門家への受診を勧めようという意図が有意に上昇した、(4)以上の変化は介入4週間後の時点においても維持されていた。また再現性確認のため、フォローアップ調査後に統制群に対しても、同様の介入を行った結果、介入群において見られた変化と同様の得点変化が見られた。 以上から、うつ病及びその治療に関する情報提供が、大学生の専門家の利用意図を促進することが明らかになった。
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