研究概要 |
[研究の目的]近年、幼児期から児童期初期の移行期において「小1プロブレム」と言われる子どもたちの集団適応力の低下が注目されており、家庭での教育力向上や学校支援体制の充実などが目指されている。しかしながら、人間の行動変容を促す際には、その人の心理的機能を明らかにすることが不可欠である。そこで本研究では4-8歳児とその両親および担当教諭を対象とし発達精神病理学的アプローチに基づく縦断研究により子どもの自己有能感・社会的受容感の発達プロセスと機能を解明する。 具体的な目的は下記の2点である。1.幼児期および児童期初期における自己有能感・社会的受容感の発達プロセスの解明。2.幼児期および児童期初期における自己有能感・社会的受容感の機能の解明。平成22年度の研究では、保護者に対する初回質問紙調査の実施および幼児に対する面接調査を実施し、測定ツールの信頼性・妥当性について検討することを主な目的とした。 [研究実施計画]平成22年度は本研究の初年度研究として「質問紙調査」「面接調査」「観察調査」を実施する。 【質問紙調査】母親、父親、保育士・幼稚園教諭を対象に、対象児が所属している機関を通じて質問紙調査を実施し、下記の情報について収集する。 【面接調査】子どもへの面接調査:面接ツールとして,幼児期・児童期初期用に作成された「自己有能感・社会的受容感」測定ツール(現在日本語版を作成中)を用いる。各24項目の質問内容が絵で表されており,子どもたちにも回答しやすいように工夫されている。 【観察調査】親子相互作用および園・学校での対人関係に関する観察 養育の質的側面を測定する生態学的観察尺度(Observational Record of the Caregiving Environment : ORCE,アメリカ国立子ども健康発達研究所,1996)邦訳版(菅原他,2004)を施行。
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