研究課題/領域番号 |
22730561
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研究機関 | 清泉女学院大学 |
研究代表者 |
眞榮城 和美 清泉女学院大学, 人間学部・心理コミュニケーション学科, 准教授 (70365823)
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キーワード | 幼児期 / 児童期初期 / 自己有能感 / 社会的受容感 / 小1プロブレム |
研究概要 |
[研究目的]近年、幼児期から児童期初期の移行期において「小1プロブレム」と言われる子どもたちの集団適応力の低下が注目されており、家庭での教育力向上や学校支援体制の充実などが目指されている。しかしながら、人間の行動変容を促す際には、その人の心理的機能を明らかにすることが不可欠である。そこで本研究では、4-8歳児とその両親および担当教諭を対象とし、発達精神病理学的アプローチに基づく縦断研究により、子どもの自己有能感・社会的受容感の発達プロセスと機能を解明する。具体的な目的は下記の2点である。 1.幼児期および児童期初期における自己有能感・社会的受容感の発達プロセスの解明 2.幼児期および児童期初期における自己有能感・社会的受容感の機能の解明 [研究成果] 初年度調査で得られた成果に基づき、質問紙調査および観察調査を行った。質問紙調査対象者は幼児期(4歳~6歳:平均年齢5.10歳)の子どもを持つ母親136名(平均年齢38.23歳)と児童期初期(7~8歳:平均年齢8.11歳)の子どもを持つ母親38名(平均年齢41.74歳)であった。質問紙調査では、子どもの自己肯定感・社会的受容感を測定する尺度の日本語版(眞榮城,2010)の親バージョンを使用した。さらに、子どもの自己有能感・社会的受容感の発達に関わると想定される要因(社会経済的変数・家族関係・子どもの問題行動など)について問う項目を使用した。観察調査では、親子相互作用の質的側面を測定する生態学的観察尺度の家庭版(菅原,2004)を施行した。観察調査で得られたデータは評定作業中である。今回得られた質問紙データは親からみた子どもの自己有能感・社会的受容感が中心であるため、分析結果については、現在幼児期の子どもたちが就学年齢に達した時点で得られるデータおよび家庭観察で得られたデータがそろった時点で、縦断的に検討し報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幼児期の子どもを対象としたデータについては、被験者数も十分であり、研究目的に沿った調査活動が実施できているため。また、児童期初期の子どもを対象としたデータは、現時点では不足しているが、今後、子どもたちの成長にともない、目標数を達成できると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
・研究計画に沿って、これまでと同様の質問紙調査・観察調査を実施する。 ・面接調査については、調査対象者の居住地域が広域に及んでいることを考慮し、研究者のみでの実施が困難な場合には、調査対象児の母親によるインタビュー調査へと変更する。 ・これまでの2年間で得られたデータ整理を行い、この2年間の間に就学に至った子どもを対象として、短期縦断的分析を行う。
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