研究課題/領域番号 |
22730561
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研究機関 | 清泉女学院大学 |
研究代表者 |
眞榮城 和美 清泉女学院大学, 人間学部, 准教授 (70365823)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 自己有能感 / 社会的受容感 / 幼児期 / 児童期初期 / 小1プロブレム |
研究概要 |
平成24年度は、189家庭(未就学児134家庭、就学児55家庭)に質問紙調査を実施し、子どもの自己有能感・社会的受容感および精神的健康度・問題行動傾向・向社会的行動傾向について回答を求めた。また、保護者を介して子どもの自己有能感(自尊感情)・社会的受容感(家族との関係性・友人関係)・精神的健康度の自己認知について回答を求める形式の質問紙調査を実施した。 研究成果の報告としては、子どもの自己有能感・社会的受容感の機能について明らかにすることを目的として、これまでに集積している横断的データ(質問紙調査データおよび面接調査データ)に基づく分析を行った。 主な結果は次の通りである。①幼児(4-5歳児)自身が抱いている自己有能感・社会的受容感は保護者認知や幼稚園教諭認知よりも肯定的なものであることが認められた。②幼児期における自己有能感・社会的受容感について性差の検討を行ったところ、自己有能感については女児が男児よりも高い値を示していることが確認された。社会的受容感については性差は認められなかった。③幼稚園教諭が認識している子どものの精神的健康度と子ども自身が認識している自己有能感・社会的受容感との関連について検討した結果、男児では幼稚園教諭評定による多動/不注意と子どもが認識している社会的受容感との間に負の相関が認められた。つまり、子ども自身が認識している社会的受容感の希薄さが集団行動場面において幼稚園教諭から問題行動が多い傾向にあると認識されることに影響を及ぼしている可能性が示されたものと考えられる。一方、女児では向社会性の高さと自己有能感との間に正の相関が認められたことから、向社会的行動の促進を目指す際には、子ども自身が抱く自己有能感に働きかけることの重要性が示唆されたものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断的調査では、未就学児データとして、幼稚園に通う子どもを持つ保護者104名とその対象児が通う園の担任教諭データ6名分の質問紙調査データを集積している。また、就学時データとしては、小学1・2年生の子どもを持つ保護者56名とその対象児が通う小学校の担任教諭データ9名分の質問紙調査データを集積した。未就学児・就学児ともに、対象児には面接調査を実施している。 縦断的調査では、質問紙調査の回収率が70.73%と比較的高く、保育園・幼稚園から小学校への移行期にかかわる縦断データも蓄積してきている。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を継続し、縦断的データの蓄積を目指す。同時に、就学前後の移行期にかかわる短期縦断的データの収集を目的として、地域の保健所や子育てサークル等の協力を得ながら、平成25年度に年長組に属する子どもへの調査参加呼びかけを実施する予定である。
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