研究概要 |
[研究目的] 近年、幼児期から児童期初期の移行期において「小1プロブレム」と言われる子どもたちの集団適応力の低下が注目されており、家庭での教育力向上や学校支援体制の充実などが目指されている。しかしながら、人間の行動変容を促す際には、その人の心理的機能を明らかにすることが不可欠である。そこで本研究では、4‐8歳児とその両親および担当教諭を対象とし、発達精神病理学的アプローチに基づく縦断研究により、子どもの自己有能感・社会的受容感の発達プロセスと機能を解明する。 [研究成果] これまでの調査で得られた成果に基づき、質問紙調査および観察調査を行った。質問紙調査対象者は幼児期(4歳~6歳)の子どもを持つ母親158名と児童期初期(7~8歳の子どもを持つ母親109名であった。質問紙調査では、子どもの自己肯定感・社会的受容感を測定する尺度の日本語版(眞榮城,2010)の親バージョンを使用した。さらに、子どもの自己有能感・社会的受容感の発達に関わると想定される要因(社会経済的変数・家族関係・子どもの問題行動など)について問う項目を使用した。観察調査では、親子相互作用の質的側面を測定する生態学的観察尺度の家庭版(菅原,2004)を施行した。観察調査で得られたデータは現在評定作業中である。また、本研究で得られた質問紙データは親からみた子どもの自己有能感・社会的受容感が中心であるため、分析結果については、現在幼児期の子どもたちが就学年齢に達した時点で得られるデータおよび家庭観察で得られたデータがそろった時点で、縦断的に検討し報告する。
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