本研究は、臨床心理士指定大学院の教育プログラムに導入可能である通常授業形式(毎週1コマのペースで半期間)と集中授業形式(数日間で通常授業形式と同コマ数分)を用いて、臨床心理士等を目指す心理的援助の初学者のトレーニングの一つとして、ゲシュタルト療法の立場に基づいた体験的グループを別個の2群に対して実施し、統制群を加えた3群間でその効果を比較検討するものである。 平成23年度までに一定のデータ数は確保できたものの、通常授業形式に比べて集中授業形式の参加者数が十分ではなかったため、平成24年度は集中授業形式による1群に対して体験的グループを実施した。これまで通り、量的な効果測定指標として体験過程や感情体験に対する態度および身体に対する気づきを測定する尺度を用いて年間3時点での縦断的な質問紙調査を行った。質的な効果測定として、体験的グループの様子を映像および音声データとして保存するとともに、毎回のグループ実施後に自由記述形式の質問紙調査を行った。 体験的グループの質や安全性を高めるためにスーパービジョン等を通じた検討は随時行われた。また、学会やワークショップを通じて最新の研究知見に触れる機会を作り、より有効なグループワークの進め方や,データ分析の手法に関する有益な示唆を得た。さらに、平成23年度までに得られたデータについて暫定的な分析を行い、その知見を複数の学会にて発表した。現在、すべてのデータ集計および分析に取り組み、最終的な研究成果の発表を予定している。
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