研究概要 |
終末期のがん患者と家族にとって,最期まで辛い治療を行いがんと闘うか,治療を中止しQOLを重視する代わりに治癒を諦めるかの意思決定は大きな心理的苦痛を伴う.患者との死別後に,その決断に対して強い後悔を引きずる遺族も少なくないことが明らかにされている.本研究の目的は,遺族の後悔という視点から意思決定を検討し,後悔が生じるメカニズムを解明することと,その結果を踏まえ,患者と家族の意思決定スタイルに応じた心理支援方法についての知見を得ることである,またこれらの知見を応用し,意思決定の際の心理的苦痛や,遺族となった際の後悔を軽減するために,患者-家族を一単位と考えた心理支援プログラムを開発することを目指している. 本年度は,次年度以降研究を実施するための準備期間としており,以下の4点を実施した.1、遺族を対象とした調査は時に心理的苦痛を伴うため,調査内容と具体的な手続き・手順に関して,できるだけ対象者の負担を軽減する工夫を検討するためのミーティングを医療従事者と行った.2、個人情報を扱う,および管理するための環境を整えた。3、がん患者と家族における意思決定支援に関する最新の情報を集め,整理した。4、最終年度にはWebを介した成果発表を予定しているため,ホームページの作成方法と更新手続き等に関する具体的な知識とスキルを獲得した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の2年間で,インタビュー調査と質問紙調査を実施する予定であったが,インタビュー調査に絞って実施するよう研究計画を変更することを検討している.理由は,インタビューによって明らかとなった結果をもとに質問紙の調査内容を構成するために,インタビューの具体的で詳細な結果とその解釈が非常に重要となるため,より時間をかけた丁寧な調査の実施と分析と,専門家との議論が必要と判断したためである.
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