本年度は、終末期の治療選択に関する一般的な意思決定プロセスを調査する目的で、インターネットによる質問紙調査を実施した。場面想定法を用いて、自分自身ががんの終末期である場合の治療選択と、家族の一人ががんの終末期だった場合の治療選択に関する意向と、その選択の困難さや辛さ、また意思決定スタイル(選択の理由)と、未来展望に関する設問への回答を得た。20-70代の男女936名から回答を得た。 調査の結果、自身の治療選択に関しては、治療中止672名(75%)、治療継続230名(25%)という結果となった。また、家族の治療選択に関しては、すでに話し合って決めている対象者114名(12%)を除外したところ、治療中止458名(59%)、治療継続(41%)となった。家族として想定した相手との続柄は、親(実親445名、義理親22名)467名(50%)、配偶者401名(43%)、その他(7%)として子どもやきょうだいが挙げられた。 自身か家族の意思決定かで、選択の意向が異なるか検討したところ、自身の意思決定より、家族の意思決定の場合に治療継続を選ぶ比率が高かった。また、対象者の年代によって、選択に違いがみられるか検討したところ、自身の意思決定においても、家族の意思決定においても違いはみられなかった。治療選択の困難さとつらさに関しては、治療選択の内容によらず、自分自身の選択よりも、家族の選択の方が、より困難で辛いと評価されていた。治療選択の意向に、未来展望が関連するのか検討したところ、自身の治療選択、家族の治療選択ともに、治療継続を選択した人は、治療中止を選択した人に比べて、未来展望が拡散していた。自分自身の治療選択、家族の治療選択共に、選択の理由にメリットをあげる人は、デメリットをあげる人よりも、未来展望が拡散していた。選択の理由が、主観的か客観的かと選択、未来展望には関連がみられなかった。
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