終末期の治療選択に際するがん患者と家族に対する心理的支援プログラムを開発するにあたっての基礎的な知見を得ることを目的に,一般成人を対象とした意向調査とがん患者の家族を対象にしたインタビュー調査を実施した.結果から,従来までの意思決定モデルを終末期の治療選択に応用する上で,以下の3点を考慮する必要があることが示唆された.第一に,患者と家族の未来展望が判断の枠組みに影響すること,第二に,延命治療に対する信念は直感的な意思決定を促すこと,第三に納得できる意思決定の判断基準は患者と家族で異なることである.今後,終末期の意思決定に関するモデルを実証的に検討し,より実態に沿うよう改良していく必要がある.
|