<目的> 心理学的支援において、きわめて重要な観点として注目される「愛着表象」測定にこれまで用いられてきた半構造化面接AAI(Adult Attachment Interview)をより簡易に置き換えるものとして、本研究ではWatersら(2007)をもとに作成した「攻撃性と安全基地スクリプトアセスメント法(以下Na法)」の信頼性、妥当性を確認した。Na法は刺激語群から作られた物語から、どの程度内的な安定性を有するかを得点化(0-7点)するものだが、AAIのように愛着パターン、とりわけ臨床的に重要となる分類Uを捉える事が出来ない。そこで本研究ではAAIにならった分類が可能なコーディング・システムを構築することを目的とした。 <結果> 保育所に通う2-6歳(Watersらの研究に準拠)の子を持つ母親、また同年齢の子を持つ精神科に通う母親26名を対象に行なった調査の分析を行なった。物語は質的にやや簡潔であり、Watersらでは4点を基準として安定-不安定を分けていたが、それよりもやや低い3.5点をカットオフとしたところ、AAIの安定-不安定との一致率は87.5%であった。さらに、今回構築されたコーディング・システム、マニュアルに基づいて得られた愛着パターン4分類とAAIによるそれとの一致率は79.1%(κ=0.71)となった。以上より、カットオフポイントの修正はあるものの、Na法の妥当性が確認された。
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