全国に58カ所設置されている児童自立支援施設では、これまでの児童と傾向の異なる発達の難しさを抱える児童や、家庭的背景として虐待などを経験してきた児童が多くりなってきている。施設規模や処遇形態で多様な運営をしている児童自立支援施設については、これまでの児童に対する処遇に困難を感じる職員や、交代制勤務の導入が進んできたことによって、処遇力の積み重ねの困難などが生じてきている。 そこで、本研究では、施設内で心理的ケアを要すると感じられる「気になる児童」に焦点を当て、その特徴について「表面的に観察される行動」「背景にあると考えられる発達の難しさ」「心理・精神的な困難」「社会資源の機能状況」について、職員に対してアンケートを実施した。 同時訪問調査を実施し、現在の児童自立支援施設における処遇の状況や課題について、調査を行った。 訪問調査の結果として、再非行率が3年間の間に半数以上に上る施設があることや、退所後のフォローアップの体制について、調査時において着手されはじめたばかりの施設も見られた。 また、発達障害などについての専門的な処遇力をもつ職員の少なさも課顯とされている一方、施設の生活ルールを最優先することによる「現実的な処遇の効果」が見えにくくなっていることがわかった。
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