研究概要 |
呼吸は自律系と随意系の2つの系により制御されている。本研究課題は,自律的呼吸が中枢神経系のみにより一方向的に制御されるという閉鎖系の制御モデルによる説明を一旦保留し,外的な知覚情報を含んだ開放系の自律的呼吸制御モデルによる説明の可能性を探ることである。実験では,呼吸周期に近い周期の触圧刺激(外的な知覚情報)を身体に加えたときに自律的呼吸が如何に変化するかを実験により検討し,その結果から,外的な知覚情報を含めた自律的呼吸の制御モデルを構築することを目的とする。 H23年度は,前年度までに作成した実験システム(データ収録・分析システム,触圧刺激提示装置)を用い,予備実験を行った。安静状態の実験参加者の腹部に,実験参加者の安静時呼吸数より速いテンポ,遅いテンポの触圧刺激を周期的に提示した。その結果,触圧刺激の提示により,実験参加者の呼吸のテンポが顕著に変化する現象は認められなかった。その原因としては,触圧刺激提示装置による触圧刺激の強度が,人体に対する刺激として弱いということが,実験参加者の内省報告から推察された。 H23年度終了時において,触圧刺激提示装置の刺激強度について改良中である。次年度の早い段階で改良を終え,その後,改良された触圧刺激提示装置を用い,外的な知覚情報(触圧刺激)により自律的呼吸が変化するか否かについて,実験による検証をすすめる。さらに,実験の結果から,外的な知覚情報を含めた自律的呼吸の制御モデルの構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
触圧刺激提示装置の改良を早々に済ませ,その後,当初計画した,外的な知覚情報(触圧刺激)により自律的呼吸が変化するか否かについての実験を行う。 さらに,実験の結果から,外的な知覚情報を含めた自律的呼吸の制御モデルの構築を目指す。
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