研究課題
本研究の目的は、近赤外分光法(NIRS : near-infrared spectroscopy)を用いて小児の前頭葉活動を計測し、抗ヒスタミン薬投与の効果を調べることにより、NIRSの精神薬理学研究への応用可能性を探ることである。NIRSは比較的新しい脳画像法で、機能的MRIやPETに比べると空間分解能が粗く皮質表面しか測定できないなどの欠点を持つが、安全性が高く、特に小児を対象とした発達脳科学での応用が期待されている手法である。本年度の研究では、高次認知課題を遂行している時の小児の前頭前野の賦活パターンに関する調査を主に行った。本研究で用いた高次認知課題は、エピソード記憶課題(符号化過程と検索過程)、Go/No-Go課題、作動記憶課題、論理的思考課題などである。基本的には成人被験者の脳賦活と類似したパターンを小児被験者も示したが、半球非対称性の欠如など成人とは異なる脳活動の性質も明らかになった。また本年度は、新規データの収集を進めるともに、現在までに蓄積されたデータをまとめて学術論文、著書、学会、シンポジウム等において積極的に発表し、研究情報の発信に努めた。学術論文においては、就学前児童(5-6歳児)が作動記憶を行っている時の前頭葉活動に及ぼす抗ヒスタミン薬投与(エピナスチン、ケトチフェン)の効果を調べた研究がNeuroscience Research誌に掲載されるなど、国内外の著名なジャーナルに多数の論文が掲載された。これらの功績が評価され、財団法人発達科学研究センターから学術奨励賞を、そして日本ヒスタミン学会から和田賞を授与された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件) 図書 (4件)
臨床神経生理学
巻: 39 ページ: 28-33
Clinical and Experimental Allergy Review
巻: (印刷中)
発達研究
Neuropsychologia
巻: 48 ページ: 2005-2008
Behavioural Brain Research
巻: 210 ページ: 178-183
Japanese Journal of Cognitive Neuroscience
巻: 12 ページ: 56-60
Neuroscience Research
巻: 67 ページ: 80-85
Neuroimage
巻: 50 ページ: 1320-1326