研究課題
平成23年度の研究成果として、以下の3点をあげることができる。第一に、小児、特に4-6歳の就学前児童を対象とした実験を数多く行い、近赤外分光法(NIRS:near-infrared spectroscopy)を用いて、認知課題遂行中の小児の脳活動を計測した。認知課題としては、エピソード記憶課題、意味記憶課題、ワーキングメモリ課題、Go/No-Go課題などを行った。特に就学前児童がエピソード記憶課題を行っているときの脳活動は明らかにされていないことが多く、本研究で得られたデータから発達神経科学の進歩に結びつく研究成果を生み出す可能性が期待される。第二に、薬理NIRSに関する情報発信を頻繁に行い、エピナスチンやケトチフェンなど抗ヒスタミン薬の投与が脳活動に及ぼす影響に関する一連の研究成果を、レビュー論文としてまとめて、Clinical & Experimental Allergy Reviews誌や日本中医学会誌などに掲載した。また、新興医学出版社から発刊された単行本『NIRSの基礎と臨床』の中でも"薬物効果の判定"という章で薬理NIRSに関する解説を行った。さらに国内外の学会シンポジウムにおいて積極的に講演を行い、抗ヒスタミン薬の投与効果に関する一連の研究成果について発表した。第三に、抗ヒスタミン薬だけでなく、アルコール摂取が脳活動に及ぼす影響に関するNIRS実験も頻繁に行い、その成果の一部は国際的に著名な精神薬理学雑誌("Psychopharmacology誌")に"Characterization of the acute effects of alcohol on asymmetry of inferior frontal cortex activity during a Go/No-Go task using functional NIRS"という表題で掲載された。こうした一連の研究成果は、NIRSを用いた薬理脳画像研究という新しい研究分野の開拓に寄与するものと考えられる。
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Clinical & Experimental Allergy Reviews
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