研究課題
唾液中のインターロイキン6(IL-6)やC反応性蛋白(CRP)によるストレス評価の可能性を検討するために、平成23年度は長期的なストレス事態におけるIL-6・CRP濃度の変動を検討した。長期的ストレス事態として2週間の教育実習(幼稚園実習)に注目し、実習に参加する女子学生13名を対象に、2週間の実習期間の前後に唾液を採取させた。採取ポイントは実習開始2週間前、開始1週間目、2週間目、実習終了数日後とし、各ポイントについて、朝(起床直後、起床30分後)と夜(就寝前)に各対象者が自身での自宅で唾液を採取する手続きとした。唾液検体は冷凍状態で回収し、唾液からIL-6、CRP濃度の測定を行った。また主観的なストレス度を日本語版自覚ストレス尺度(Perceived Stress Scale:PSS)を利用して測定した。分散分析の結果、主観的なストレス度(PSS得点)は実習中に高い傾向が認められた。IL-6、CRPについては、両マーカーともに、起床時に高い濃度を示した。また、IL-6は実習期間中(実習1週目)に有意に高い値を示した。一方でCRPは、実習期間を通じて、有意な変化を示さなかった。1年目の結果とあわせて考えると、IL-6は急性ストレスに対する反応が比較的長く続き、また、長期的なストレス状況においても上昇が認められたことから、個人のストレス状態を比較的捉えやすい指標であることがわかった。CRPはストレスに対する反応性は一過性であり、長期的なストレス状況においては上昇が認められなかったため、ストレスの評価という目的においては有用でない可能性が示された。
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International Journal of Psychophysiology
巻: 84 ページ: 39-44
DOI:10.1016/j.ijpsycho.