研究課題
すでに全断眠が認知機能の低下を引き起こすことは過去の研究から明らかにされているが,日常生活場面で頻繁に遭遇する部分断眠や睡眠の質の低下が認知機能に及ぼす影響についての情報は充分得られていない。本申請課題はこの点を明らかにするための系統的な検討を行うことを目的としている.部分断眠研究:一晩の部分断眠(4時間睡眠)は、日中の主観的・他覚的眠気を亢進させるとともに持続的注意の悪化を引き起こすことを明らかにした。また、部分断眠後によって増加した行動的覚醒維持検査実施中の3秒以上の反応遅延(無反応)に伴い、PERCLOS(Percentage of Eyelid Closure Time;1分あたりの閉眼時間の割合)と緩徐眼球運動出現率の増加、瞳孔径の縮小を認めた。また、眼球指標の中で無反応を予測する精度を比較したところ、PERCLOSの精度が最も優れており、PERCLOSによる無反応検出の感度と特異度はそれぞれ、76.0%と77.5%と比較的高い精度を有していた。本年度は睡眠時間の短縮が眠気や持続的注意に及ぼす影響を検討するための実験で得られた研究成果を国際学会及び国際誌上で発表した。睡眠構造操作研究:本年度は、睡眠の質の低下が覚醒水準や認知機能に及ぼす影響を検討するために、徐波睡眠を制限する徐波抑制実験のシステムを開発した。本システムでは、Complex Demodulation法を用いて睡眠時の脳波から徐波をオンラインで検出し、徐波が一定の閾値を超えたら音刺激提示を開始するとともに、徐波が閾値を下回るまで4秒ごとに音刺激を提示するという方法を採用した。徐波抑制負荷を実施する徐波抑制条件と音刺激を提示しない通常睡眠条件後の覚醒水準や認知機能を測定する実験を実施中である。
2: おおむね順調に進展している
昨年度得られた部分断眠に関する研究成果を国際誌上で発表した。また、23年度は交付申請書に記載した睡眠構造操作による認知機能の変化を検討するための実験を実施しており、順調に進展している。
睡眠構造操作による実験のデータを追加するとともに、データ解析を実施する。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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