2010年度は、8自治体の調査を実施するとともに、文献・資料の収集により本研究に関わる事例の情報を得るとともに理論的な枠組みの精緻化を進めた。これらの成果の一部は、2010年11月に開催された日本教育制度学会大会において公表した。本年度に実施した調査の概要は下記の通りである。 青森県:青森県は2009年度までの3ヶ年で、文部科学省委託事業により社会教育事業として学習相談から就業までを含めた再チャレンジのための学習支援システムの構築に取り組んでいた。それらの事業が生涯学習施策に与えた影響を調査した。 津山市・三条市:津山市は地域振興部に、三条市は市民部に生涯学習課をそれぞれ設置し、補助執行により首長部局を中心とした生涯学習施策を展開している。首長部局における生涯学習施策の展開および教育委員会との連携について調査を実施した。 燕市・北見市:いずれも市町村合併により新たな生涯学習基盤を構築しつつある。合併による行政基盤の変動が生じる中での生涯学習施策の展開について調査を実施した。 下関市・赤穂市:総務省が進める定住自立圏構想の取り組みの中に生涯学習施策を位置づけている事例として、「合併一市圏域型」の下関市と「県境型」の赤穂市の事例を調査した。地域づくりの観点からの生涯学習施策への取り組みについて調査を実施した。 秋田県・秋田市:秋田県立図書館は「図書館海援隊」プロジェクトに、秋田市立公民館は「公民館海援隊」プロジェクトにそれぞれ参加し、生涯学習事業を通じた地域づくりに取り組んでいる。それぞれの取り組みについて調査するとともに、秋田市については市民協働による西部市民センターについても調査を実施した。
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