2012年度は計画の一部を変更し、東日本大震災被災地を含む7自治体の訪問調査を実施するとともに、学会等の参加にあわせてさらに7自治体の資料収集を実施し、また文献・資料の収集により本研究に関わる事例の情報収集および理論的枠組みの精緻化を進めた。これらの成果の一部は、2012年11月に開催された日本教育制度学会大会において課題別セッション報告として公表し、また学会誌等に論文が掲載された。本年度に実施した調査の概要は下記の通りである。 岐阜県美濃加茂市:中心市として周辺の6町1村とともに定住自立圏を構築している美濃加茂市では、公共施設の共同利用推進の取り組みの中で図書館の共同利用が進められている。同市では外国籍児童・生徒が多く、地域におけるそれら児童・生徒の学習支援施策が推進される地域性の中で各図書館・図書室がいかなる学社連携を図っているかを調査した。 岩手県宮古市、同陸前高田市、同山田町、宮城県気仙沼市、同南三陸町、同亘理町:東日本大震災被災地により学校や公立図書館が被災したこれらの自治体において、被災した学校および学校図書館と公立図書館との連携がいかなる形で構築され、またそのような動向は各自治体の生涯施策のなかでどのように位置づけられているのかを調査した。この中で、陸前高田市はNPOにより児童図書館が設置され、また同NPOによる学校支援もおこなわれるなど、広義の市民協働に位置づけられる活動が展開されており、自治体としての生涯学習施策との関連について調査をおこなった。 また、学校図書館を含む県内の図書館のネットワーク化と連携の強化に向けた取り組みを進める三重県立図書館、東日本大震災からの復興の中で行政機構の再編がなされた宮城県名取市のほか、岩手県釜石市、同大槌町、同洋野町、同野田村、宮城県岩沼市の各図書館を訪問し、資料を収集した。
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