本研究は、いわゆる「主任職」や新しい職としての「主幹教諭」等に関する分析を中心に行いながら、自治体・学校における制度的・経営的諸条件に加えて、教職員の認識とともに調査・分析することを通じて、学校組織におけるミドルリーダーの機能と役割について明らかにすることを目的としている。ミドルリーダー教職員の認識については、「(1)校長の経営方針に対する認識」(トップのビジョンに対するミドルの認識)、「(2)校務分掌組織に対する認識」(学校組織の改善志向に対する認識)、「(3)教授-学習に対する認識」(他の教員の授業に対する認識)の3つの側面に着目して分析を行った。本年度は、これらの視点に着目しながら、事例校調査を行うことで検証した。校長及び教務主任等のミドルリーダーを対象とした聞き取り調査を行った事例校では以下のような内容が得られた。学校における方針等に関する共通理解を十分に有しているミドルリーダーである方が、日常的な教務主任として事務仕事のほかにも、教室における授業やその他の場面において、役割の幅が広く、多様な役割を有していることで、多面的に学校に貢献していることが明らかとなった。また、若いミドルリーダーであっても、校長の考えや方針によっては、(3)に関する認識や役割に対する期待とそこでの力の発揮が期待できることが指摘されていた。今後、これらのことは、質問紙調査による、量的な分析との比較によって、検討される必要がある。
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