研究概要 |
平成23年度は主として以下の4点について研究を進めた。 (1)幼児の遊びに関する国内外の先行研究の収集と批判的検討 文献検索および山田(1996)の『遊び研究文献目録』により、主としてごっこ遊びに関する先行研究を収集、分類した。その結果、ごっこ遊び研究の潮流として、1.遊びの構造、成立に関する研究、2.ごっこ遊びにおけるイメージの役割、共有過程に関する研究が多くなされていることが明らかになった。 (2)これまでに蓄積した幼児の歌唱行動事例データの整理・分類 2002年~2005年にかけて幼稚園・保育所において行った観察調査により得られた事例データを、第一段階として共同遊びと一人遊びにおける事例に分けた。その上で、歌唱行動が遊びの展開に及ぼした影響という観点からカテゴリー化を行った。その中から歌唱行動の機能として、共同遊びにおいては1.変換の伝達と共有、2.「そらし行為」としての歌、3.競争遊びにおける歌、という3つの側面を導き出した。また、一人遊び場面においては、1.対象への理解を深める歌、2.心情の代弁としての歌、という2つの側面が浮かび上がった。さらに、各事例を分析する中で、発達段階による歌の歌われ方の違いについても検討の対象とした。 (3)新たなフィールドにおける観察調査による幼児の歌唱行動事例データの収集 静岡市内の幼稚園および東京都内の保育所において、2011年9月および11月~12月、2月に観察調査を実施した。非参加観察法による観察を行い、ビデオ記録とフィールドメモによる記録を行った。得られた事例データは上記(2)と同様に整理・分類に着手した。 (4)関連学会等への参加・成果発表 芸術教育分野における研究者が集まる日本保育学会、音楽教育史学会、音楽教育学会に参加し,関連分野の研究者との意見・情報交換,音楽教育学会においては成果の発表を行った。
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