研究概要 |
本研究は,三重県型「学校経営品質」の成果と課題について,理論的・実証的に明らかにすることを目的とする.今年度は,そのための基礎作業として,以下のことを行った。(1)欧米の学校経営研究における品質管理論の整理・検討、(2)「学校経営品質」に取り組んでいる校長および関係者への聞き取り調査(インタビュー),(3)一般教員の「学校経営品質」に対する認識の調査。(1)では,統計学者エドワーズ・デミングの品質管理論について整理・検討したうえで、デミングの議論が欧米の学校経営研究へどのように導入・展開されたかについて,組織論的な観点から考察を加えた。その結果、三重県型「学校経営品質」の成果と課題を検証するための重要な視点として、a.伝統的管理の転換やその基礎となる個人の転換,b.8つのカテゴリーやツール活用の基礎となる知識や原則,c.これまでの教育の研究や実践が大切にしてきた理念や用語,d.教育の独自性や特殊性とかかわるホリスティックな視点,e.目指す児童・生徒の姿,f.特別な支援が必要な子どもや外国籍の子どもたちにとっての効用,g.学校における活動の中核である教授・学習のプロセス,を抽出した。そのうえで,これらの視点に対する校長および関係者たちの認識と実態を明らかにすることの意義と重要性について指摘した。また,(2)と(3)の結果から、校長および教育委員会と一般教員との間には、「学校経営品質」の施策・実践に対する認識にズレや違いがあることが推測された。この点に関する本格的な検証は、次年度の課題とした。
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