研究課題/領域番号 |
22730619
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
長廣 利崇 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (60432598)
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キーワード | 高等商業学校 / 社会移動 / 和歌山高等商業学校 / 日中戦争 / 国民精神総動員運動 / 高等教育史 / 教育史 / 経営史 |
研究概要 |
第一に資料調査・収集としては、高等商業学校の『学校一覧』などをデジタルカメラで撮影した。ただし、『学校一覧』に掲載されている、卒業生の就職情報は、不正確なものが多いことが分かったため、新聞や『校友会誌』等の資料を捜索・収集し『学校一覧』の情報を補った。『学校一覧』による生徒の就職情報は、1930年代の前半以後分からないが、一次資料に挿入されていた断片的な記録も分析した。 第二にこの資料収集作業を前提として、エクセルに生徒の就職情報を入力し、卒業後の進路が分析できるようにした。具体的には、1936年までの生徒の卒業後の進路が判明つくデータベースを構築した。本研究では現存する可能な限りの資料を用いて、卒業年、卒業1~5年後の就職先の情報を復元するとともに、断片的な情報をもとに1930年代後半~40年代の生徒の就職先をデータベース化した。 第三に『会議資料』等に記載された、賞罰、卒業判定に関する文書を分析して、生徒個人の処罰・成績などの情報を収集した。とりわけ、和歌山高等商業学校において、社会主義運動が激化する1930~31年における生徒の処罰のあり方を会議録などで分析した。なお、この作業を行う過程において、教員に関する個人情報が記載された資料を発見したため、これら資料の分析も行った。 第四にこれら生徒の個人情報(成績、賞罰、卒業判定等)を就職先のデータベースに統合して、どのような要因が就職に関係するかを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた資料に期待していた情報が記載されていなかったが、他の資料によって代替することで当初の目的を遂行できた。また、資料を分析していく過程で、本研究に関する新たな資料を発見したため、順調に進展している判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
和歌山高等商業学校の生徒の就職「斡旋」の動向について検討する。さらに、採用先(企業)の動向を雑誌資料等によって分析する。なお、本研究は予想以上に個人情報(処罰、成績不振等)の分析が多かったため、論文執筆の際は、個人の情報が判別できないように注意する。
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