研究概要 |
研究目的である尋常中学校との接続関係(アーティキュレーション)の形成過程、学校水準の整備過程を明らかにするため、研究計画に基づき第五高等中学校に受験実態(合格・進学実態ではなく)のある九州各県の尋常中学校関係史や先行研究を調査した。今年度計画は北部九州地域(福岡県・佐賀県・長崎県)が調査対象地域であった。 福岡県調査においては、明善校の後身である県立明善高等学校、修猷館の後身である県立修猷館高等学校、豊津尋常中学校の後身である県立育徳館高等学校に対しそれぞれ事前調査として問い合わせを行った。その結果、明善高等学校には明治25年の職員会議録が2冊ある他に尋常中学時代の史料は見あたらないことがわかった。修猷館高等学校については図書館に古い教科書と校友会誌を所蔵するのみで、学校文書は戦災で消失した可能性が高く、唯一初年度(明治18年)の成績簿が残っているとの回答を得た。育徳館高等学校は関連資料をすべて「みやこ町歴史民族博物館」へ移管しているとのことで、関連資料が多く保存されている育徳館高等学校を訪問し、資料調査を行い、学校文書、校友会誌等3,000コマを超える資料を撮影した。 佐賀県については佐賀中学校を起源に持つ佐賀西高等学校、唐津中学校の後身である唐津東中学校・高等学校に対し照会を行ったが、尋常中学校期の資料は存在しないとの回答を得た。 長崎県調査においては、長崎尋常中学校・大村尋常中学校・平戸猷興館関係資料の調査のため、長崎歴史文化博物館にて長崎県の学務課関係文書、県会の日誌や教育会雑誌など約3,000コマの資料を撮影した。 23年度は上記の調査資料の分析と、追加調査を実施すると共に、南部九州地区の調査を実施する予定である。
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