本研究は新自由主義教育政策下における公立学校教員をめぐる法制度の変容を、特に教員の労働条件、身分保障をめぐる法制度に焦点をあて検討してきた。具体的には、連邦初等中等教育法 の 2002 年改正法「どの子も置き去りしない法(No Child Left Behind Act)」の教員関連条項と、 オバマ政権のもと競争的資金プログラムとして実施された「頂点への競争(Race to the Top)」 プログラムの分析を行い、これらの連邦政策が各州の教員法制改革に与えた影響を明らかにし た。特に、オバマ政権のもと、教育政策の目玉とされた「頂点への競争」プログラムが、資金獲 得の条件として設定した「選考基準(selection criteria)」を通じて各州政府を政策誘導し、従来、 連邦政府が介入し得なかった州法レベルの教員関連立法の改正を促していることを明らかにし た。
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