本研究は、太平洋戦争後の地域における青年学校の状況や改革動向、六・三・三制学校制度への移行状況を明らかにすることを目的としている。2012年度は、この目的を達成するために、以下の活動を行った。 1)神奈川県、愛知県、京都府、広島県、岡山県等の公文書館・図書館において、『県報』『県公報』に掲載された青年学校関係通牒の収集を行った。文部省の発信した通牒が、都道府県レベルで周知される方法やその内容等について、いくつかのパターンがあることが判明した。 2)飛騨市教育委員会所蔵および個人所蔵の青年学校文書の収集を行った。また、広島市では役場文書に含まれる青年学校関係文書の収集を行った。さらに、古書店より、青年学校関係の記録綴を購入した。 3)このほか、当該時期における地方紙等の新聞記事や雑誌に掲載された青年学校関係記事の収集を行うとともに、青年学校関係図書を購入した。 4)以上のような資料収集とともに、収集した資料の分析・考察を行った。このうち、上記1)で収集した都道府県レベル通牒については、前年度に収集した文部省による青年学校教授及び訓練要目の修正案をふまえて考察をおこなった。これについては、教育史学会第56回大会において、「敗戦直後における青年学校教育課程改革の動向―教授及訓練科目要旨・教授及び訓練要目の修正案をめぐって―」と題する研究発表を行った。また、その他の収集資料についても考察を行い、敗戦後の青年学校の状態の一端を明らかにすることが可能となったので、発表に向けた準備を行っている。
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