本研究では保育記録について以下のことを明らかにした。(1)保育者による保育記録の基本的な様式が、1890年代から1900年代に興隆した児童研究における児童観察の試みを通して成立したこと。(2)児童研究によって子どもの活動に発達的教育的な意義が付与されたこと。(3)児童研究の児童観察において保育記録が成立したことによって、記録者である保育者が実践者というよりも観察者の立場で記述する傾向があること。(4)家庭の育児記録や子どもを美的に描く文学的で情緒的な語り口も混在しつつ複雑な保育記録の様式が成立していたこと。
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