研究課題
本年度は、ICTを用いた異文化トレーニングの理論的整備のための基礎的研究として、ICT上で特徴的な設問設定等の教育方法と評価方法を、文献調査および専門家の知見により明らかにすることを目的に研究を進めた。最初に、異文化トレーニング事例の資料・教育工学分野資料の文献調査では、通常の異文化トレーニングとICTを用いた時の相違に焦点化して精査し、その体系的整理を行った。成果の一部として学会・論文発表を行い、学会においては国内外の研究者との交流を深めることができた。次に、関連分野の研究者・実践経験者への面接調査を実施した。米国の異文化コミュニケーション研究所Intercultural Communication Institute(ICI)では、オンラインによる異文化コミュニケーション教育を専門とする研究者、および日本では、異文化トレーニング実践経験が豊富なファシリテーターに対し調査を行った。さらに、教育工学分野からの補完もすべく、オンライン教育を専門とする教育工学研究者に対する調査を行う機会も得た。調査では、ICTを用いた異文化トレーニングは、異文化に対する興味を喚起し、理解を深める教育方法の一つとして肯定的な意見を得られた。これにより、設問設定と内容の妥当性に対してある一定の評価が得られたと考えられる。今後の課題としては、明確な目的に応じた内容設定・オンラインに特徴的な教授方法のありよう・対象者に応じた評価方法の設定、以上の3点について、さらなる整備の必要性が明らかにされた。来年度は、今年度の調査結果を踏まえて、理論的整備の研究を継続しつつ、実証的研究のためのICTを用いた異文化トレーニングシステムの形式的評価を重ねることにより、研究内容を深めてゆくこととしたい。
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The Asian Conference on Education Official Conference Proceedings 2010.
巻: ISSN:2185-6133 ページ: 331-343
仁愛大学研究紀要人間学部篇
巻: 第9号 ページ: 1-9