研究課題/領域番号 |
22730640
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
疋田 祥人 大阪工業大学, 工学部, 講師 (40425369)
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キーワード | 「文検」 / 手工科 / 手工科教員養成 / 中等教員養成 |
研究概要 |
平成23年度は、主として明治・大正期における「文検」手工科の試験問題の分析を行い、その特質として、次の6点を明らかにした。 第1に、手工科教育の目的や価値を問う問題が継続的に出題されており、手工科教育の活動を主導する目的的価値課題についての理解が重視されていたと考えられた。 第2に、各種の「細工」において必要な「仕事」や教材の選択・排列の方法を問い、実際に教育課程を編成させる問題が継続的に出題されており、自ら作業要素を「仕事」という形で抽出し、必要な教材を選択して系統的に排列しつつ、手工科教育の教育課程を編成し得る能力が求められていたと考えられた。 第3に、材料、寸法、構造などの一部条件以外の構想や製作の手順、段取りなどは受験者に考えさせて製作を行わせる物品製作が毎回課されており、物品製作の技能が基礎的資質の1つとして考えられ、とりわけ物品製作の技能の中でも、工業ないし産業における構想・計画・立案・段取りなどに関わる創意的・構成的能力が重視されていたとみることができた。 第4に、製作することを仮定して物品の構想を描かせる製図の問題が、1906(明治39)年以降、毎回出題されており、製図の技能が重視されていたとみることができた。 第5に、立体の切断面の形状や立体の展開図を描かせる製図の問題が、1906(明治39)年以降、毎回出題されており、立体の形状や構造を正しく理解し、それを正確に図に描き表す「幾何画」の知識や技能が重視されていたとみることができた。 第6に、手工教室の構造、およびそこに備えるべき工具、機械、備品等の物品についての問題が出題されており、施設・設備を整備・管理する能力が求められていたとみることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「文検」関係雑誌が所蔵されている図書館等が少なく、試験問題の収集に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
試験問題は、「文検」受験対策用図書等などにより、概ね収集できた。今後は、手工科教育の時期区分により、三期に区分し、それぞれの時期における試験問題の内容と特質を解明していく。
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