研究課題/領域番号 |
22730641
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
川地 亜弥子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20411473)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生活綴方 / 作文教育 / 学力評価 / 教育評価 / 作品批評 / 自己表現 |
研究概要 |
1 戦後綴方・作文教育に関する実践分析: 本年度は、特に1980年代以降の作文教育における作品批評、生活指導、集団づくり、教育目標、教育評価に焦点をあてて調査・分析を行った。その成果を、「児童の豊かな言語表現を育てる教育評価とは――現代の生活綴方実践から」(到達度評価研究会第29回全国集会、2012年7月)、「生活綴方における教師のリアリズム―ー綴方教師の目標-評価と指導過程」(心理科学研究会秋の研究集会、2012年10月)、「現代の生活綴方実践における学びと集団」(日本教育方法学会第48回大会 課題研究III、2012年10月)で発表した(※いずれも単独発表)。質疑応答を通じて分析の精緻化を行うことができた。 LDが疑われる児童への指導、不登校児に対する指導等、学校生活に困難を抱える子どもたちに対する自由度の高い言語表現指導とその成果を分析し、 2 現代の学童期における学力と発達に関する研究 本年度は、「児童期(6歳~12歳頃)における詩や作文による表現の発達的特徴と実践のあり方」(人間発達研究所第27回研究集会、2012年6月)として、学童期における言語表現とその指導に関する発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、綴方・作文教育における学力と評価に関する理論と実践に関する研究である。戦前・戦後の綴方・作文教育における学力構造論と教育評価(綴方・作文教育で育成する学力の観点から、各教科の質をどのように評価していたか)に焦点をあてて分析を行うこととしている。 それに対して、昨年度までに小砂丘忠義、加藤周四郎、村山俊太郎、東井義雄、国分一太郎、西條昭男、得丸浩一、小松伸二、伊藤和実、太田一徹、中俣勝義、佐藤寛幸、田中郁について、実践記録、インタビュー、研究会発表資料をもとに分析を行っており、概ね予定通り研究が進展している。今年度は勝村謙司を分析の対象とし、大阪の綴方教師の実践を明らかにする。 また、分析枠組みの精緻化を図るため、中内敏夫の生活綴方論について、特に「教育ではなく生活訓練」との変更について考察を加える必要があるが、これについてもすでに研究に着手しており、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度のため、これまでの研究を総括し、最終報告書を作成する。小砂丘忠義(高知)、加藤周四郎(秋田)、村山俊太郎(山形)、国分一太郎(山形)、太田一徹(北海道)、伊藤和実(埼玉)、西條昭男(京都)、得丸浩一(京都)、小松伸二(京都)、佐藤寛幸(大阪)、田中郁(高知)、中俣勝義(鹿児島)については、これまでに発表した論文・研究ノート等に加筆・修正を加える。勝村謙司実践(大阪)、および中内敏夫の理論的変化については今年度に文章化を行う。 日本作文の会、京都大学教育方法学研究室研究会等で草稿について検討する。 最終報告書は大きく分けて3部構成とする予定である。第一部では、生活綴方の先行研究の動向を取り上げ、 とりわけ中内敏夫の理論的変遷について明らかにし、第二部以降の分析枠組みを得る。第二部では、戦前の生活綴方実践について分析を行う。第三部では、戦後の生活綴方実践について分析を行う。 概ね以下のように進める予定である。4月中旬 日本教育方法学会編『教育方法42』に研究成果の一部を入稿。4月19日 京都市つづり方の会参加、情報収集を行う。西條昭男に最終報告書内容について最終確認する。5月上旬 作文教育全国大会に向けての学習会に参加、情報収集および意見交換を行う。5月中旬 近畿作文教育研究大会に参加、近畿の作文教育の現状について情報収集を行う。7月下旬 国語教育研究大会に参加、国語の教育実践について情報収集を行う。8月上旬 作文教育全国大会に参加、全国の文集の状況及び実践について情報収集を行う。11月下旬 教育目標・評価学会に参加、研究成果の一部を発表、情報収集と意見交換を行う。12月中旬 研究成果報告書入稿。3月下旬 「教科外活動と到達度評価」誌に勝村謙司実践の学校づくりと綴方指導について投稿。
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