研究初年度にあたり、2010年8月に開催された日本教育学会第69回大会にて研究者のこれまでの成果と研究状況を一般研究として発表した(発表題目:1820年代F.フレーベル自然諸学にみる「観察」の位相)。1820年代を中心としたフレーベルの著述を再構成すると、教授項目の中にはもちろん数・形量・言語の基礎カテゴリーも含まれるが、同時にギリシア語やラテン語、博物学や地理、自然諸学といった当時の民衆学校では教授されていなかったものも提供されていたことは明らかである。カイルハウ教育舎では大学入学準備のための教育実践がなされており、たとえ教授理論の完全な体系化はなされなかったとしても、その尽力のほどは伺えるのである。そこで、自然諸学の教授のなかで「博物学(Naturkunde)」の教授体系に注目した。すると、周期性を見いだして分類する作業を重視していたことが明らかとなった。質疑応答に際し、この発表においては研究の意義について議論がなされた。また今後の方向性として一次資料の精査方法ならびにその方向性の妥当性について確認した。発表後は既公開資料の精読にも努めた。 2011年2月にはドイツ・ベルリン教育史研究図書館を訪問し、貴重な一次資料の閲覧を行った。そこでは、1820年代のフレーベル直筆の書簡や書付を見いだすことができた。
|