研究概要 |
F.フレーベル(Frobel,F.W.A.1782-1852)が教授項目として「自然(Natur)」を重視するに至った過程の一端を明らかとすることを課題とし、未刊行資料「ヴァイス教授の自然諸学に関する哲学的検討」(Uberdes philosophische Studium des Naturwissenschafts von Prof.Weis.Aus:Deutsches Institut fur internationale padagogische Forschung.Bibliothek fur bildungsgeschichtliche Forschung[DIPF.BBF]/Archiv.Bestand der friiheren Akademie der padagogischen Wissenschaften[Archiv.APWA]Nachlass Friedrich Frobels.Sig.334,B1.1-B1.10RS;Abkr.BN 334)の読解につとめた。本資料はフレーベルが師事したベルリン大学結晶学研究室教授ヴァイス(Weiβ,C.S.1780-1856)の理論を手掛かりとした論考である。 この論考でフレーベルは自然の事物には(1)存在条件としての統一性と多様性、ないしは普遍性と特殊性についての観察、そして(2)事物が事物たる条件としての発生-存続-消滅の過程についての観察を重視していること、それゆえ生成過程としての連続性が鍵概念となっていることが明らかになった。 これはフレーベルの論述に見られる「象徴としての数」の基礎をなすものと思われる。連続性とはモノや感覚の連続、ないしは徐々に変化することを示す用語である。また数学の用語では(有理数と無理数とを合わせた)全ての実数の「連続体」を指す。また生態学において、特に植生群集は様々な集個体群の重なりによって成立しており、環境傾度に沿って連続的に移行するという「群集連続(説)」を指す。このような学術用語の多様な視座から人間形成の考察の可能性が高まったものと思われる。
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