本研究では、G.ベイトソンのコミュニケーション論を理論的な基礎に据えて、エコリテラシーの考え方も踏まえながら、環境教育と芸術教育の融合した教育実践の可能性を探っていくことを目的として考察を行った。ベイトソンは、自然、生物、人、社会を含めた私たちの生きた世界を、精神プロセスを含み込み且つそこに美的な感覚や聖なるものが存在するシステムとして捉えていくことにより、二元論的思考を超えていくエコロジカルな思想を提起した。そして、ベイトソンの思想を基にF.カプラが展開したエコリテラシーの考え方は、自然の生態系のシステムの諸原理や知恵に倣って私たちの生きた世界のあり方を捉えていこうとしており、体験的に感性と理性の双方を総合的に身につけていくことをめざしたものである。環境教育と芸術教育を融合していく実践の意義と可能性を見出すことができた。
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