本研究は、男女平等教育に関する教員研修プログラムに着目し、(a)教育行政における教員研修の実際(マクロ分析)、(b)教師個人の文脈での男女平等教育実践の実際(ミクロ分析)を調査により明らかにするものである。これにより、教員研修の実際と教育現場の課題の「ねじれ」を明らかにし、教育行政の男女平等教育に関する研修プログラムの批判的検討とジェンダー研究に依拠した教師文化論からの教員研修の課題を提案することを試み、「ジェンダーと教育」研究と教育現場の「協働」の構築を提案することを目指す。 本年度は、前年度までに教育センターを対象に実施した「電話調査」及び「質問紙調査」をもとに、次のように研究を遂行した。すなわち、(a)に関する男女平等教育・男女共同参画に関する研修の現状分析と、(b)男女平等教育・男女共同参画に関する研修・教育実践の実際等に関する調査データ及び研修資料などをもとに、研修をめぐる現在の状況に関する最終的な整理を行った。具体的には次のようである。 第一に、都道府県・政令指定都市・中核市の教育センターから得られた教員研修の実態に関する調査データをもとに、統計的手法を用いて、男女平等教育・男女共同参画に関する研修の内容・項目、研修の位置づけなど、当該研修に関する再検討を行った。第二に、県市の特徴と併せて、各県市から得られた当該研修をめぐる状況についての資料や個別の電話によるインタビュー調査から得られた知見を整理し、上記と照らしあわせて最終的な成果をまとめた。 以上から、「男女平等教育・男女共同参画」に関する教員研修の実施状況の実施や研修の設定をめぐる教育センター(教育行政側)について、その特徴や現状を明らかにするとともに、課題を明らかにした。これらの成果は、北海道教育大学紀要(教育科学編)第63集にまとめた。
|