本年度は研究課題の最終年度にあたるため、現地調査を進めると同時にこれまでの調査で得られた研究成果の発表を積極的に進めた。調査研究については、昨年度に引き続き、英語を教授言語とする学位プログラムを設置している中国、韓国、日本の大学の状況を中心に検証した。特に中国では2010年9月に中国教育部が「中国留学計画」において、学歴教育(学士課程、修士課程、博士課程における正規教育)を受ける留学生を2020年までに15万人とするという数値目標を発表している。目標達成に向けて、中国の主要大学では、昨今、留学生を対象とした英語を教授言語とする修士課程プログラムの設置が急速に拡大しているため、この状況に着目し、昨年度に引き続き、中国の主要大学における同様のプログラムについて調査した。更に急速な進展がみられる中国の対外中国語教育政策に関し、中国政府が最重要地域として位置付けている米国の現状を考察した。これら得られた調査結果をもとに、中国、韓国、日本の3か国の高等教育の国際化の方向性の差異及び共通点を比較検証した。また、本研究課題の研究成果の一部を、平成24年6月に日本比較教育学会、平成25年2月に香港比較教育学会で発表したほか、黒田千晴(2012)第2章「中国(二)国家戦略としての国際教育交流の振興」北村友人・杉村美紀共編『激動するアジアの大学改革―グローバル人材を育成するために』上智大学出版 、黒田千晴(2012)「中国高等教育戦略振興国際教育交流」(中国語論文)袁貴仁総主編・張秀琴主編『外国人看中国教育』高等教育出版社において発表した。現在、本研究課題で明らかにした点、知見を総括し、東アジアの高等教育における日本の立ち位置を確認し、国際高等教育政策のあり方を検証している。今後研究成果を、国内外の学会で発表するほか、学術誌に論文を投稿するべく準備を進めている。
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