本研究は、中国、韓国、日本の高等教育政策、特に高等教育の国際化に関する施策、留学生政策及び留学生教育の実施状況を比較・検証し、東アジア地域の国際教育交流における「競争」と「協働」のメカニズムを解明することを主たる目的として実施した。一連の研究調査の結果、中国、韓国、日本の大学間では、東アジアに位置するという地理的・文化的共通性を生かした多様な教育プログラムが展開されており、三カ国間の学生交流は、著しく拡大していることが明らかになった。また、「キャンパス・アジア」事業構想など、質の保証を伴った大学間交流が進展しつつあるが、未だ発展途上段階であり、その規模は限定的であることが確認できた。更に、中国、韓国の主要大学は、相対的に日本の大学に比べてより大胆な高等教育の国際化戦略を打ち出しており、東アジアの大学との教育連携を重視しつつも、欧米の大学との国際教育連携をより志向しており、優れた教育資源を積極的に取り入れることにより、グローバルな環境における国際競争力をより一層高めるための施策を実施していることが明らかになった。
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