研究課題/領域番号 |
22730665
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
太田 美幸 立教大学, 文学部, 准教授 (20452542)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 成人教育 / 民衆教育 / スウェーデンモデル / 職業訓練 / 文化運動 / アソシエーション |
研究概要 |
本研究は、スウェーデンモデルの成立過程において、成人教育関連政策がいかなる社会的・政治的・経済的・文化的課題に対峙するものであったのか、スウェーデンモデルのなかで民衆教育・成人教育がどのような機能を期待されてきたのか、その結果どのような成人教育システムが形成されたのかを明らかにすることを目指すものである。2012年度は、2011年度に引き続き(1)文化運動・文化政策に関する調査、および(2)職業訓練・職業教育に関する調査をおこない、その成果をもとに(3)「学習サークル・デモクラシー」言説の背景について検討した。 (1)については、2011年度に引き続き19世紀末の文化運動とナショナル・ロマンティシズムの思潮を精査しながら、野外博物館や郷土博物館が民衆教育機関として開設されていった経緯を、ナショナリズムの装置としての文化施設が人々の日常生活に浸透していく過程として読み解いた。この作業によって、スウェーデンの成人学習において大きな比重を占めてきたアマチュア文化活動の基盤の一端が明らかとなった。(2)については、スウェーデンモデルの形成期における成人教育および職業訓練システムの制度化過程について再度検討をおこない、1960年代・70年代の一連の改革の背景を探る中で、(3)の課題として、当時のパルメ首相がいかなる意図のもとに「学習サークル・デモクラシー」への期待を語ったのかを検討した。2012年6月にストックホルム市で開催された労働者教育協会(ABF)の創設100周年記念大会に参加した際には、特にパルメ元首相の民衆教育・成人教育への関与に焦点を当てたセミナーに参加した。ここまでの作業を通じて、スウェーデンにおける成人学習と文化的・政治的・経済的なアソシエーションとの密接な関係が改めて確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年度の研究を通じて、当初の研究計画に含まれていなかった課題が浮上したため、2012年度は複数の作業を並行しておこなうこととなったが、おおむね順調に進んだ。2013年度は予定どおり、これまでの成果をまとめる作業に専念できる見込みである。2012年度の研究成果は現時点では論文として刊行されていないが、2013年に刊行予定の共著に掲載される。
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今後の研究の推進方策 |
2011年度に研究計画をやや修正する必要が生じたものの、2012年度の研究は予定どおりに進行したため、最終年度である2013年度は当初の計画のとおりこれまでの成果をまとめる作業に専念する。
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