研究概要 |
わが国の国公私立大学における教員給与は,教員の活動をどのように反映したものとなっているのかという観点から,各大学の教員給与制度を明らかにするため以下の研究を行った. 1.資料・文献調査 国内の大学教員給与に関する先行研究を収集してその到達点を確認したほか,国家公務員の給与制度を扱った行政学および民間企業の給与制度を扱った経営学等の資料・文献を収集して,領域横断的な知見を得た.また,大学教員給与に関する国際比較研究などの国外における研究動向を確認した. 2.訪問調査 国内の国立3大学,公立大学を設置する3県庁,公私立7大学の給与担当部課を訪問し,給与制度についてインタビューを行った.全国の(四年制)大学を対象とする質問紙調査の設計に向け,資料・文献で得た知見を給与担当者に確認するとともに,それらで公表されていない制度の詳細を把握した.国立大学において進む勤務成績の反映や,国家公務員準拠型がある一方で独自の給与制度理念・伝統もみられる私立大学の多様性,そして地方公務員の給与制度に拘束される一方で法人化がインパクトを与える余地をもつ公立大学といった,設置形態によって異なる動向がうかがえた. 3.全国私立大学を対象とした質問紙調査 上記の調査から,大学を対象とする機関質問紙調査には設置形態によって異なる調査票を設計することが有益と判断し,まずは平成23年1~2月に全国592私立大学を対象とした質問紙調査を実施した.回収率は37.5%と決して高くはなかったが,設置年や学部数を指標とした機関類型の構成比は全私立大学のそれを概ね反映していたことから,私立大学全体の傾向を読み取れる貴重なデータを得たと考える.回答結果は現在分析中であり,次年度より成果発表を行うこととしている.
|