研究課題/領域番号 |
22730671
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
金 侖貞 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40464557)
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キーワード | 教育学 / 多文化教育 / 韓国研究 / 多文化共生 |
研究概要 |
本研究は、多文化教育の「制度化」という視点から国が積極的に多文化教育政策を推進する韓国を調査対象に政策研究と理論、実践研究からその実態を明らかにしようとするものである。 今年度の研究においては、蜷国で行われてきている多文化関連研究及び多文化教育研究に関する先行研究をレビューするとともに、在韓華僑についての文献整理を行った。2005年からの多文化政策の展開とともに、多文化関連研究は膨大に行なわれ、教育学だけではなく、社会学や女性学などの諸分野において様々な研究が盛んに行われてきている。特に、教育学においては、アメリカなどの海外の多文化教育の紹介から、多文化教育政策の分析、地域の平生学習機関にきている外国人学習者の特性分祈にいたるまで多様である。しかし、そこには韓国の「多文化主義」たるものの特徴でもある、外国人女性とその子どもという対象への傾斜がみられ、いわゆるオールドカマーである華僑に対する視点は不在であった。そこには、オールドカマーとニューカマーとの間に断絶がみられ、韓国の多文化教育研究をより総合的に捉えるためには、両者を繋いで考える視点が必要であると思われる。このような先行研究の分析は、来年度も引き続き行う予定である。 一方で、韓国国籍をとった外国人女性が初めて国会議員となったことが大きく注目を受けており、さらに、韓国の多文化政策形成の背景の一つとなっている外国人女性との国際結婚が少しすつ減っている中で、今後はどのように現在の多文化政策を維持し、マジョリティである韓国人にどのような多文化教育を行っていくのかが課題となると思われる。今後の研究においては、そういった韓国社会の変化を視野に入れながら、文献研究とフィールドワークを行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたとおり調査は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
いままでは、在韓外国人を支援する団体や機関の関係者を中心に聞き取り調査を行ったが、今後は当事者インタビューを試み、韓国の多文化政策が実際にどのように機能しているのかを明らかにしていきたい。
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