ヒューマン・グローバリゼーションのもとで日本国内に暮らす外国人の子どもを研究対象とし、不就学課題解決を目的とした支援体制を構築のための方法論を明らかにするため、以下の研究に取り組んだ。 1点目が、全国の都道府県および政令都市の計60教育委員会を対象にした公立高校における外国人生徒に関する実態の把握である。その結果、外国人生徒を対象にした入学者選抜および入試特別措置、外国人学校中学部卒業者にかかわる日本の公立高校入学者選抜出願資格の扱い等は、自治体により大きく異なる実態が明らかになった。特に、外国人生徒の在籍状況を把握した自治体は少ないことから、外国人生徒の教育体制が構築されていない実態も明らかになった。 2点目が、パイロット地域として岐阜県の公立高校を対象にした外国人生徒に関する実態の把握である。平成24年度入学者について入試特別措置が実施されている11校と、外国人コミュニティの情報による外国人生徒が多く在籍する7校の計18校を対象に調査を行った結果、外国人生徒を対象にした入学者選抜および入試特別措置が有る自治体の公立高校においても、外国人生徒の在籍状況や卒業後の状況などの外国人生徒の実態把握の在り方をはじめ、外国人生徒の対応や施策などが異なる実態が明らかになった。 3点目が、ブラジル学校における日本の学校健診手法の適用可能性の検討である。23年度は昨年度の研究成果を応用し、他地域でも応用可能な学校健診の手法とその在り方について実践的研究を行った(本年度は愛知県にある伯人学校イーエーエス豊橋校)。その結果、健診を受けた子どもの保護者の99%が「検査費用を自己負担しても学校健診実施を希望する」と回答し、健診を実施した教職員全員が「継続を希望する」と回答した。以上から、残された課題はあるものの、それらを差し引いても、ブラジル学校において日本の学校健診モデルの適応は十分可能であると考えられた。 以上の調査研究別に報告書を作成し、自治体をはじめ、NPO、外国人学校等の各関係者などと広く研究成果を共有し、研究成果の社会還元にも努めた。
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