本研究の目的は、家庭環境が高校中退に対して与える影響について、時系列変化に着目して明らかにすることである。本研究で得られた主要な知見は以下に示す通りである。(1) 1956年~75年、76年~85年コーホートでは、親学歴や家庭の経済状況を統制した後も、ひとり親・親不在家庭出身者は、二人親家庭出身者よりも高校中退リスクが高い。(2)世代、地域を問わず、高校中退経験者の家庭に共通して見られる特徴は、子どもの意志決定を尊重する親が多く、そのため、高校中退時に親が「引き止め役」を果たしていなかったことである。
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