本研究の目的は、1960年代のネパールにおける国民教育制度の創設および整備過程を明らかにすることである。 この目的を達成するために、本年度においては、まず、トリブヴァン大学(Tribhuvan University)附属図書館および同大学附属の教育改革・開発研究センター(Research Centre for Education Innovation and Development : CERID)、アメリカの国際開発庁(United States Agency for International Development : USAID)などを通じて、本研究の基盤資料(教育計画および政策文書、対ネパール教育援助に関する文書など)を入手した。 また、資料収集と並行して、本研究の基礎作業として、1950年代(王政復古期)のネパールにおける国民教育制度構想の再検討を、この時期の教育法規整備計画に焦点を当てて行った。その成果は、『聖徳大学研究紀要短期大学部』に論文として掲載されている。 さらに、本年度後半においては、1960年代の教育計画文書や教育法規を精読し、同計画・法規の全体像の把握に努めるとともに、これらが設定する「ネパール国民」像について追究した。しかし、本年度では、こうした知見について整理し、1960年代のネパールにおける教育開発を、国民教育制度の創設および整備過程と捉えて解明するための視点を確立するには至っていない。これは、平成23年度以後の課題とする。
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