高度に近代化された現代社会を維持するために、有限な資源である化石燃料の代替となる、再生可能な自然エネルギーの技術開発が求められており、今後の学校教育においても、これらの新しい再生可能エネルギーに関する理解を深めながら、その現代社会との関係を適切に評価する態度を養う必要がある。そこで、本研究では(1)再生可能エネルギーの中でも太陽光発電を題材とし、最先端の色素増感型太陽電池について児童・生徒に体験的に学習させる教材を開発すること、(2)開発した教材を活用して学習効果を高める授業構成やカリキュラムについて検討することを目的とした。平成24年度には、以下に示す各事項について実施した。 (1) 教材化を指向した色素増感型太陽電池の発展的改良 学校教育現場において製作可能な教材化を目指し、電気的特性の向上並びに低コスト化を意識して色素増感型太陽電池の発展的改良を行った。複数個の色素増感型太陽電池を直列に接続することで、発光ダイオードを点灯させることができ、色素増感型太陽電池による発電を視覚的に提示することに成功した。また、色素増感型太陽電池の電気的特性を定量的に測定・評価するための直流電力量計の開発も行った。 (2) エネルギー教育に関する授業構成及びカリキュラムの構築に関する検討 小学校並びに中学校の新学習指導要領において、色素増感型太陽電池を題材として含む再生可能エネルギー教育に関する授業構成及びカリキュラムの構築に関する発展的検討を行った。カリキュラム全体における知識理解と製作題材とのバランスに留意し、授業実践の在り方を模索した結果、小学校理科(第6学年)、中学校理科(第一分野)、中学校技術・家庭科(技術分野)などにおいて、色素増感型太陽電池を題材とする授業導入が検討された。
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