児童・生徒が算数・数学の基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に付け、数学的な思考力・表現力を高め、算数・数学の楽しさや意義・有用性を実感するためには、算数的活動・数学的活動や算数・数学を活用することが重要な役割を果たす。本研究は、算数的活動・数学的活動や算数・数学の活用に重点をおく算数・数学の授業の原理と方法を追究することをモチーフとし、その理念を提唱した20世紀を代表する数学教育学者ハンス・フロイデンタール(Hans Freudenthal : 1905-1990)の数学教育論を体系的に再構成しその特質を明らかにすることを目指している。 平成24-25年度は、前期数学教育論の代表的著作『教育的課題としての数学』(1973)に加え、それ以降に発表された「指導のもとでの追発明」(1979)など数学的活動と数学の活用に関わるフロイデンタールの諸論文や『数学的構造の教授学的現象学』(1983)などの代表的著作を手がかりとして、彼の数学教育論の構成要素と構造について検討した。また、フロイデンタールの数学教育論に基づき算数・数学教育の研究に取り組んできたユトレヒト大学フロイデンタール研究所の研究成果を調査することで、この観点からフロイデンタールの数学教育論を再検討し、数学的活動や数学の活用に重点をおく我が国の数学科の授業開発に取り組んだ。なお、フロイデンタールの数学教育論に関する資料を引き続き収集するとともに、フロイデンタールの数学教育論に関わり収集してきた資料の整理も行った。
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