研究概要 |
本年度は、第1に前年度に引き続き市民性意識調査を実施、調査結果を整理、分析すること、第2に英国人市民性教育研究者を招聘し、調査結果の報告、国際的なレベルで成果の検討を行うこと、第3に地域固有の市民性を基盤とした学習材の開発、実際の学校現場で実践すること、以上3点を主眼とし、研究を進めた。その結果、以下2点を明らかにした。 第1は、前年度までの調査結果をふまえ、英国及びギリシャの初等、中等学校でアンケート調査を実施し、その結果を分析した。その結果、一例として、日本では市民性の判断基準として62.7%の子ども達が道徳的要素を選択していることに対して、英国(イングランド)では4.5%がその第一要件として選択していた。英国の学校では、50%の子ども達がコミュニティーへの貢献を選択しているところから、国の違いに基づく市民性意識の要素、及び価値判断基準の違いを明らかにした。本分析結果は市民性教育研究国際学会(Citized, 2013)で発表する。また、このような市民性意識の違いとして、国ごとに重視する市民性教育研究の内容と方法が異なること、それは学校教育現場への還元方法の相違へ直接的に結びついていることをCiceの論文で示した。 第2に、2012年3月、University of Leicesterより市民性育成教育の研究者であるDr. Michalis Kakosを本学へ招聘し、研究結果の検討会を行った。その結果、地域固有の市民性の理論と実践の往還として、アクティビティー型の学習活動の提案を受け、高等学校の公民学習「自由って何?」を開発、大阪府内の高等学校で実践、授業結果の分析検討を行った。 以上、2点を通して、地域及び国固有の市民性意識の比較分析、市民性に基づく学習材開発と実践を行った。その結果、地域固有の市民性教育内容開発の論理の解明、論理に基づく学習材を実践の場で検証した。
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