本年度は、「1.特別支援教育における『学習の共有化』を促す音楽科授業デザインの検証」、「2.特別支援教育における『学習の共有化』を支える理論的基盤の再整理」、「3.特別支援教育における『学習の共有化』を促す音楽科授業デザインの開発」を行った。 「1」については、2012年度に引き続き、指導事例の分析から抽出した「音楽活動のユニバーサルデザインとなる工夫」をもとに設計された授業デザインの検証を行った。特別支援学校に在籍する生徒を対象とした器楽指導を分析し、「学習の共有化」を促す楽譜や楽器の工夫について明らかにした。また、小学校の通常の学級における特別な教育的ニーズのある児童を含む鑑賞指導を分析し、「学習の共有化」を促す感受・表現の方法、活動の場面設定について明らかにした。 「2」については、発達に関する指標(音楽的発達に焦点を当てたもの「発達の4層からみた音楽療法の配慮点」等)、就学前の保育や教育に関する指標(幼稚園教育要領、保育所保育指針)、初等教育段階の教育に関する指標(小学校学習指導要領)における記述をもとに、特別支援学校(知的障害教育)音楽科器楽領域の指導内容(「知的障害特別支援学校における各教科の具体的な内容の例4.音楽」)を発達段階に着目して分析し、特別支援学校(知的障害教育)と小中学校等の音楽科教育課程の関係性を明らかにした。 「3」については、2012年度までの研究と上記「1」・「2」における分析結果を踏まえた上で、「教材の選択」と「指導方法の工夫」に焦点を当てて、特別支援教育における「学習の共有化」を促す音楽科授業デザインの例を提案した。
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